正倉院展から遠くの奈良(吉野、飛鳥)へ

正倉院展の告知 瑠璃杯 関西

正倉院展をメインにしてこれまで行けていなかった飛鳥も行こう!、ということで二泊とも近鉄奈良駅近くのホテルをとったのですが、その後、吉野山の金峯山寺きんぷせんじの青い秘仏の御開帳期間😮ということを知り、欲張って吉野も追加。

旅程

1日目:東京駅>7時台の新幹線のぞみで京都>近鉄特急で橿原かしはら神宮前駅~乗り継いで吉野駅>駅前からロープウェイで吉野山(この時点でほぼ昼)>金峯山寺>吉水神社>休憩>同じ道を戻り、特急乗り継ぎで近鉄奈良駅近辺泊

2日目:9:30予約で正倉院展>正倉院近くで軽くランチ>春日大社>東大寺>興福寺国宝館>おみやげをぷらぷらみてホテルに早めに戻る

3日目:8時半頃の急行で近鉄奈良>橿原神宮前乗り換えで飛鳥(荷物は橿原神宮前駅のコインロッカーへ)>駅前でレンタサイクルをして、高松塚古墳>キトラ古墳>亀石>万葉文化館(ランチ)>酒船石>飛鳥寺>橿原神宮前駅(自転車はここで乗り捨て)>橿原神宮前駅15:07分発の近鉄特急で京都駅>新幹線のぞみで東京駅(18:33)

真ん中の日が正倉院展の予約の日になってしまったので、本当は吉野と飛鳥は連日にして、一泊は飛鳥とか橿原神宮に泊まるのが効率的だったかも。とはいえ、宿以外でぷらっと朝・晩御飯も食べたい私としては、奈良駅近くの街中に泊まったのは食事処の選択肢が多く、悪くなかったように思いました。

京都に比べると奈良は東京からのアクセス、観光地間のアクセスがいまいち。ただ、今回は全部近鉄駅を基点に動きやすかったです。近鉄特急はオンライン予約に会員登録だのクレジットカード作れだの要求されないので良き✨(特にQRコードなども出ないので、予約画面をスクショしておくと安心。予約した席に座っている限りチェックもされないようです)。

Yahoo!の乗り換えアプリで検索したままに予約サイトに飛べるようになってたのも便利だと思いました(結果、別に特急でなくてもよいところまで、ちょっとだけ早いということで特急を使ってしまったけれど😓)。

金峯山寺

ロープウェイの駅から歩いて10分弱。吉野山というと、日本史に詳しい人は何を思い浮かべるのかしら。私は疎いので、桜とどこかで目にしたこの青い権現様。

仏像は撮影禁止なので、御開帳告知のスクショで。真ん中が釈迦如来(悟った後)、両脇は菩薩(修行中)ということなのだけれど、厳しく導くために怖いお姿になっている(権現)、というもの。毎年春と秋に一か月くらい公開されるようです。

金峯山寺は修験道の祖「役行者えんのぎょうじゃ」が開祖。うんうん、名前くらい聞いた記憶がある。修験道ってそもそもなんぞ?というと、お寺のサイトによると「自然崇拝に外来の仏教、道教、陰陽道などが融合して成立した我が国独自の宗教です」だそうです。たしかに仏教というイメージに収まりませんね。

金峯山寺の青い秘仏
高さ約7m。お顔が大きめかも。。。
普段はこちらのお坊様もみることができないそうです。
金峯山寺の本堂
お堂も大

ちなみに、お堂の横に「脳天神社」という頭に効く!という神社の看板が出ており、うかつに階段を下ってしまい、戻ってくるのに汗だくになりました。戻ってよく見たら看板に「450段の階段に挑戦」のように書いてありました😭。

吉水神社

実は今回の旅で一番印象ににこったのは、正倉院展よりこちらだったかも。金峯山寺のついで、くらいに思っていた私、愚かでした…!

吉水神社が何で有名かというと、

  • 源義経と静御前が最後に一緒に過ごし別れたところ
  • 南朝の後醍醐天皇の住まい(皇居)
  • 秀吉の花見の本陣(「一目千本」の場所)

というところでしょうか。小さいところですが、拝観料を払って書院に入ると、「義経潜居の間」、「弁慶思案の間」、「後醍醐天皇玉座」などがあり、ゆかりの品々が色々。

静御前の「よしのやま みねのしらゆき ふみわけて いりにしひとの あとぞこいしき」という歌が貼ってあります。ここから義経は彼女を残して山伏の姿で逃げたのですね。切ない。

日本史や古典に疎いとはいえ、私的には「えー、本物?」「こんなうっすいガラスケースでよいんかい?」と思うような展示でした。歴史上の有名人がいたところに自分もいるというのは不思議な感覚です。

吉水神社 後醍醐天皇玉座
後醍醐天皇玉座
蝉丸の琵琶
蝉丸の琵琶。え、あの百人一首の!
静御前所用の鎧
静御前所用の鎧。義経の鎧もあった。

南北朝とか、鎌倉時代と室町時代の間?よくわからん。ということで、一冊だけ行きの新幹線から予習。

「南北朝 日本史上初の全国的大乱の幕開け (朝日新書) 新書

足利尊氏、結城宗弘、楠木正成…どっちがどっち側?というのはちょっとわかった気がする😓。恥ずかし。地理的には東北から九州、公家や武家の経済基盤、外圧(元寇)、芸能などなど、守備範囲広く当時の混乱の因果関係の解説を試みた本と思えました。ただし原文がふんだんに引用されているので、古文が不得手な私にはもう少し解説が欲しかった😭。。。

楠木正成というのは、正直名前以外は謎の人でしたが💦、武家出身というわけではなかったのですね。「太平記」というのを(この本で解説されているような誇張があることを踏まえて)読んでみたくなりました。

吉水神社 秀吉の金屏風
秀吉の金屏風
吉水神社 人目千本の場所
「一目千本」の看板のあるところ。茶色い木が山桜。桜はご神木で修験僧や参詣者が植えてきたとのこと。

正倉院展

年に一回、正倉院のお宝の一部が公開されるということで、「行ってみたいな~」「でも奈良行くのに時間かかるし、週末とかめちゃ混むよね~」ということで、あまり真剣に考えたことのなかった正倉院展。今やパートタイムになったので、ここぞとばかり平日に予約をしました。

9:30入場の予約で、10分前ころに奈良国立博物館に着きましたが、すでに同じ時間入場の人が結構並んでいる。ほどなく入場でき、1時間10分ほど鑑賞。混んではいましたが、それなりに近くでお宝を拝見できました。

2025年正倉院展の告知
撮影禁止のため告知のスクショ

今年の目玉は

  • 木画紫檀双六すごろく局(ほかにサイコロ、ガラスや琥珀、水晶などのコマ)
  • 投壺とうこと投げ矢(ツボの中に矢を入れるようゲームの道具)
  • 鳥毛篆書屏風(内容は優れた君主の心得を書いている)
  • 黄熟香(蘭奢待らんじゃたいと呼ばれる香木)
  • 平螺鈿背円鏡
  • 瑠璃杯(上の青いガラスの高坏。資料集とかで日本人は絶対見たことあるやつ)

などなど。通と思われる人達は、オペラグラスのようなものをもってじっくり観察されていました。

上野の「正倉院THE SHOW」で香りを再現していた蘭奢待の現物(密封)と「縹の縷はなだのる」がありました!上野で買った蘭奢待の香りカードを持参していたため、現物を前に一人すんすん香っているへんな人になりました😅。いずれも1,300年くらい前のものだよね。金属や石とかならともかく、絹糸をより合わせた紐だよ、よく残っていたな😮(残してくれた方々に感謝)。

お土産にしおりを買ったら、レジに30分くらい並んだ😩。平日でこれでは…。「列が長くなっているのでお詰めください」と言われるのだけれど、「そのまえにレジ数をお増やし下さい」と言い返したくなったわ。

奈良市内ー春日大社、大仏殿、興福寺国宝館

このあたりはべたなので。。。すべて奈良公園の中で鹿と戯れながら?歩いて周りました。若草山、二月堂なども目にできます。興福寺は阿修羅像を再訪。五重塔は修復工事中で見えませんでした。

春日大社の暗闇野中の灯籠
実は行ったことなかったかも。春日大社の灯篭(暗くして明かりをつけている部屋がある)。お宮がたくさんあるのですが、風の神様のスポンサー(?)がダイキンなのはちょっと笑えた。
東大寺大仏殿
大仏殿。やっぱり大きい&奈良の象徴。外国人が多かった…。
カメラ目線をくれない奈良の鹿
鹿せんべいをあげないとカメラ目線ももらえないらしい。

高松塚古墳・キトラ古墳(四神の館)

駅前でレンタサイクル。キトラ古墳など、だらだら上るところもあるので、+500円で電動自転車を選んで正解。レンタルサイクル屋さんでおすすめコースの地図ももらえるので、そのあたりを参考にGoogle mapをポケットに入れて道案内を頼みます。Google mapは攻めた道?を選ぶことがあるので、時々裏側の入り口に案内されて狼狽😓・・・。

高松塚古墳の壁画
こちらは模写。もっと大きいかと思っていた。
高松塚古墳の石室(再現)
石室と絵を再現したもの
キトラ古墳 四神の館内部
星図とスクリーンで天井と壁を表している。スクリーンに映っているのが玄武。

飛鳥は古墳や日本で最初の仏教の寺(飛鳥寺)があるということなので、南北朝、正倉院の時代よりさらに時間を遡ります。空が高くてのどか。古墳では高松塚古墳が有名ですが(少なくとも私が歴史学んだ時代には)、サイズは勝手に想像していたより小さかった😮。飛鳥歴史公園館のそばにあり、自転車なら壁画館の前まで行けます。

キトラ古墳には「四神の館」があり、施設も新しく展示も今様でした。ちょうど一番保存状態が良いとされる北壁の「玄武」(亀と蛇とみえます)の限定公開期間にあたり、ラッキーにも別室で実物を見ることができました(予約制ですが、予約なしで行っても受付でお願いするとあまり待たずに入れてもらえました)。

東西南北壁に四神(青龍・白虎・朱雀・玄武)・天井に(中国の)天文図を置くというのは高松塚遺跡も同じなのですが、キトラ遺跡のものの方がより精緻な筆致のようです。四神って京都(平安京)のイメージだったのですが、古墳の時代にもう概念があったんだ。

万葉文化館・酒船石・飛鳥寺

万葉文化館 外観
万葉文化館。ボランティアガイドさんのお話を聞いていて、中の写真を撮り忘れてしまいました😓。
酒船石
酒船石。何につかったのかねー。
飛鳥寺の仏像
飛鳥寺の如来像。飛鳥時代の部分はお顔と指の一部らしいです。

万葉文化館も新しく広々とした施設。無料。素晴らしい。もともと万葉時代の工房が発掘されたところのようです。日本最古の通貨はいまや「和同開珎」ではなく、ここで作られた「富本銭」だそう。歴史は塗り替えられる。。。暮らしが再現されていたり、ボランティアガイドさんにもお話をお聞きできて、なかなかに面白かったです。私は自転車で移動しましたが、庭を回って酒船石にも5分くらいで行けるとのことでした。

万葉集は4,500首あまりが収められているようですが、北は福島あたりから南は九州まで、詠み手の身分も色々。たぶん大部分は徒歩で移動している時代、全国の歌を集めるとかすごくないです?歌ってそんなに必需品みたいものだったのでしょうか😶。

そういえば、正倉院展に当時の戸籍のような巻物、地方間の物のやりとりや通信を記録した巻物などが出ていました。8世紀頃にこんなに「国」みたいな形があったんだなぁと関心してしまいました。

飛鳥寺はとても小さなお寺。もともとは20倍くらいの規模があったそうです。蘇我馬子が596年頃に創建した日本初の本格的な仏教寺院だそうで、この如来像は法隆寺の釈迦三尊像と同じ鞍作止利くらつくりのとり作だそう。蘇我馬子とか、大昔に読んだ「日出処の天子」が頭をかすめます。火災や寺院の荒廃もありつつ、なんと1,400年以上同じ場所におられるという・・・もうそれだけでもありがたや。自然と世界平和を祈りたくなります。

おまけ

奈良県で一番の地方銀行って「奈良銀行」ではなくて「南都銀行」。「南都」は京都に対する南というところから来ている平安時代からの呼び名らしいです。こうして巡ってみると、奈良銀行より南都銀行が確かにいいよね!と勝手に納得してしまいました😊。

葛餅とアイスコーヒー
吉野で葛餅。
奈良のお酒のリスト
居酒屋さんの奈良のお酒。てへ。
大和野菜カレー
万葉文化館の大和野菜カレーは驚きのボリューム。

旅の途中、万葉集の時代も知らないなぁと、(南北朝の本が難しかったため)小説をポチり。歴史もっと真面目に勉強しておいたら良かった。

額田女王(新潮文庫) Kindle版

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